「うちの子、今年受験生なのに勉強しない…。」そんな気持ちを抱きつつも、お子さんに対してどのように接すれば自ら勉強してくれるか悩んでしまっているお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか?
そのような悩みを抱える方のために、受験生のお子さんが勉強しない原因とその対策を紹介します。
受験を控えるお子さんの「勉強しない」タイプには2つある
受験生になっても勉強しないお子さんは、主に以下の2つのタイプに分けることができます。※1
- 受験生になる前から家で勉強をしていなかった
- 以前は勉強をしていたが、だんだん勉強をしなくなった
お子さんのタイプによって、お父さん、お母さんの取るべき行動はそれぞれ異なるため、まずはお子さんがどちらのタイプか見極めましょう。
※1 学問のオススメ. 高校受験直前なのに勉強しない・・・ときの親の対処法!
これまで家庭で勉強していない場合の理由と対策
受験生になる前から家で勉強をしていなかったタイプのお子さんが家庭で勉強しない理由は主に以下の3つが挙げられます。
① 勉強以外にやりたいことがある
② 家で勉強するイメージが湧かない
③ 受験に対する現実逃避(明日やろう精神)
①は部活や趣味など勉強以外に熱中している、②は家で勉強をする習慣がないために、「どこで」「どうやって勉強したら良いか」が分からない、③は受験に対して強いストレスを感じてしまっているといったように、同じ家で勉強をしていなかったタイプのお子さんでも理由が同じとは限りません。
それぞれの理由に対してお父さん、お母さんが取ってはいけないNG行動と、適切な対策を紹介します。
理由①:勉強以外にやりたいことがある
学生時代は部活や趣味など色々なことに熱中する年頃で、それ自体はとても良いことです。
しかしながら受験生となると、部活や趣味にだけ没頭してしまい、勉強しないというのはあまり褒められたことではありません。
この時、お父さん、お母さんが取るべきでないNG行動は、「こうしなさい」と親の感情を押し付けてしまうことです。
お子さんのことが心配であればあるほどつい言ってしまいそうになる言葉ですが、余計に勉強から遠ざかってしまう原因になりかねません。
では、お父さん、お母さんはお子さんに対してどのような行動をとれば良いのでしょうか?
こういう時は一旦お父さん、お母さんの考えは置いておいて、お子さんの話に耳を傾けることが大切です。※2
お子さんが今考えていることをしっかり理解してあげた上で、お子さんのやりたいことと受験勉強を両立させられる方法はないか、あるいはどちらかに注力するのかをしっかり話し合いましょう。
話し合った上で決まったことであれば、お子さんも、お父さん、お母さんからの押しつけとしてではなく、「いっしょに決めたこと」として受け入れて勉強に取り組むことができます。
その段階を経てから、家での勉強を習慣付ける方法をいっしょに考えてあげましょう。
例えば、「お子さんが帰宅したら勉強を一時間やってから夕飯の時間にする」といったように、家族の生活リズムの中に、お子さんの勉強を組み込んであげたり、勉強をするときはまず一問いっしょにやってみたりするなど、勉強に取り掛かりやすい空気感をご家庭で作ってあげてみてはいかがでしょうか。
※2 かもめの本棚online. 第2回 親子の傾聴で子どもは必ず心を開きます
理由②:家で勉強するイメージが湧かない
今まで家で勉強をする習慣がなかったお子さんにとっては、家=勉強する場所というイメージが湧きづらいのかもしれません。※3
そんなお子さんに対して、頭ごなしに「勉強しなさい」と言い続けてもあまり効果がないでしょう。
それよりも、お子さんが家で勉強しやすい環境を、家族みんなで作っていくことが大切です。
「勉強をする空間や勉強机はできる限りシンプルにする」「勉強に関するもの以外は片付けておく」さらに「お父さんとお母さんもいっしょにスマホに触らない時間を作る」「読書や勉強する時間を作る」といったことをすると、自然とお子さんも勉強しやすい雰囲気に繋がります。
※3 明光義塾. 家で勉強しない中学生の子供を勉強させるには?親ができることはある?
理由③:受験の不安に対する現実逃避
(明日やろう精神)
受験に対して過剰な焦りや不安を感じていると、勉強に身が入らないことがあります。
なかには「また明日から勉強すればいいや」と先延ばしにする癖がついてしまうお子さんもいます。
そんな時にお父さん、お母さんに悪気はなくても兄弟や知人のお子さんなどと比較すると、お子さんに対して余計にプレッシャーになってしまうので注意しましょう。※4
人は過度のストレスに曝されると現実逃避や自己防衛といった行動を取る傾向があることが分かっています。※5
お子さんが勉強を先延ばしにしてしまっているのは、将来的に受験があることは分かっているものの、具体的にどう対処すればよいかわからない焦りや不安から来るストレスによって、受験という現実から目を背けてしまっているからかもしれません。
そういったお子さんに対しては、スモールステップに落とし込んだ計画をいっしょに考えてあげるのがおすすめです。
スモールステップとは細かい目標を段階的に定めて、簡単な内容から順にクリアすることで最終目標の達成に近づいていく方法です。
例えば、「〇〇学校に合格する」という最終目標に対して、今度はそれを達成するために「7月の模試で正答率60%を取る」という、より直近の目標を設定し、さらにその目標を達成するためにクリアしていくステップを設定します。
このように目標設定を細かく行っていくと、お子さんが今やるべきことを明確にでき、漠然と何をして対処したらよいかわからなかった不安を和らげてあげることに繋がります。※6
※4 スタディサプリ中学講座. 子の心、親知らず?受験生が実は「本当にヤメテ!」と思っている親の言動 10選
※5 ストレスのメンタルモデル 無気力の発生過程と対処法に関する知識構造. 茨城大学人文学部紀要 人文学科論集37:1-19,2002.
※6 スモールステップ方略が目標達成に及ぼす影響 スケーリング・クエチョンを用いたスモールステップ方略の提案. 信州心理臨床紀要No15:23-34,2016.
勉強していたのにだんだんとしなくなった場合の理由と対策
次に紹介するのは、以前は勉強していたのにだんだんとしなくなってしまったというお子さんのタイプです。
勉強への意欲が低下してしまう理由としては、主に以下の2つがあげられます。
① 勉強しているのに成績が上がらない
② ゲームやyoutube、スマホなどの誘惑に負ける
①は成績が伸び悩んで勉強に対する意欲が薄れていってしまっている、②は休憩時間が伸びすぎて勉強時間が減っている状態です。
それぞれの理由に対して父さん、お母さんが取るべき適切な対策について紹介していきます。
理由①:勉強しているのに成績が上がらない
勉強しても成績が思うように上がらないことが続くと、お子さんの気持ちが途切れてしまうことがあります。
この時、お父さん、お母さんが定期テストや模試の結果で一喜一憂しないようにしましょう。成績が伸び悩んでいることに対して一番焦りを感じているのはお子さん自身です。※7
お子さんに声をかけるなら、「できるようになったところを褒める」など、お子さんが今まで勉強して来た成果を肯定するような言葉がおすすめです。※8
加えて、「ここまではできたから、次は〇〇をやってみよう」といったように、点数や成績だけに縛られない目標を立ててあげてはいかがでしょうか。
※7 慧真館. 高校受験まで残り4ヶ月!「子どもを潰す親」にならないために。
※8 モチベーションアカデミア. やる気はあるようだが成績上がらない。親としてできることとは?
理由②:ゲームやyoutube、スマホなどの誘惑に負ける
効率的に勉強を進めていくためにも適度な息抜きは必要です。
しかし、「ちょっと休憩」と思ってyoutubeやスマホを見ていると、ついつい長い時間を費やしてしまうことがあります。
だからといって、むやみにゲームやスマホを没収するというのはあまりよくありません。
没収するのではなく、きちんと時間を区切り、メリハリを付けたスケジュール管理をするように提案しましょう。
ゲームやスマホ自体が勉強の息抜きやリフレッシュになるのであれば、それらをやってもよいということにし、休憩時間も考慮したスケジュールを組んで家族みんなで共有しておけば、お父さん、お母さんも咎めず見守ることができますし、お子さんも、怒られたり制限されたりすることがないので、気持ちが楽になります。また、時間が区切られているため、「時間が来たら声をかける」「時間が来たら再び勉強を始める」というアクションを起こしやすくなるはずです。
時間さえきちんと決めていれば、ゲームが必ずしも受験に悪影響を与えるとは限りません。※9
もしスケジュール管理が苦手なお子さんの場合は、お父さん、お母さんがお子さんに助言して、目標を達成するために適切なスケジュールを組むお手伝いをしてあげるとよいでしょう。
※9 All About. ゲームを受験生の敵にしないための3つの条件 使い方次第で脳トレ?!
まとめ
今回は、受験を控えるお子さんが家で勉強をしない理由とその対策を、お子さんを下記の2つのタイプに分けて紹介しました。
- 受験生になる前から家で勉強をしていなかったタイプ
- 以前は勉強をしていたが、だんだん勉強をしなくなったタイプ
今まで家で勉強をしてこなかったお子さんに対しては、以下の3つの対処法がおすすめです。
- お子さんの話に耳を傾ける
- お子さんが家で勉強するための環境や雰囲気を作る
- 受験勉強に対する計画の立て方をお子さんといっしょに考える
また、以前は勉強をしていたが、だんだん勉強をしなくなってしまったというお子さんに対しては、以下の2つの対処法が効果的といえます。
- できるようになったことを褒めてあげるような言葉をかける
- 目標を達成するために適切なスケジュールを組む手助けをする
受験におけるお子さんの目標とスケジュールを明確にしてあげることで、お子さんといっしょに受験を乗り越えましょう。
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- キリンホールディングス株式会社
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