スポーツ時の集中力を高めるメンタルトレーニングとは

限られた場所や時間で、ご自身の持っている力を最大限に発揮するためには、メンタルトレーニングがおすすめです。
メンタルトレーニングは、トップアスリートも取り入れている集中力を高める方法です。

メンタルトレーニングの効果を発揮するためには、試合の時だけではなく、日常生活や練習時から取り組んでいくことが大切です。
そこで、この記事では、親御さんとお子さんがいっしょに取り組めるメンタルトレーニングの考え方と、お子さんの生活において親御さんができることについて説明していきます。


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この記事の監修者

今野 裕之医師

精神科、心療内科医、認知症診療医

ブレインケアクリニック名誉院長 ・一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長
順天堂大学大学院卒業。老化予防・認知症予防に関する研究で博士号を取得。大学病院や精神科病院での診療を経て2016年にブレインケアクリニック開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、一人ひとりの患者に合わせた診療に当たる。認知症予防医療の普及・啓発活動のため2018年に日本ブレインケア・認知症予防研究所を設立。 著書・監修に「最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術(青春出版社)」など。

メンタルをトレーニングするとは?

メンタルをトレーニングするとは?

メンタルトレーニングとは、運動競技において最高の能力を発揮出来るように精神面から状態を整える手法の一つです。※1
メンタルトレーニングによって、試合の場面でプレーに集中して、安定したプレーを行うための行動と思考を変える効果が期待できます。※2

試合中に不安や焦りを感じて緊張し、「うつむいている」「目が泳いでいる」などの状況を目にした際に、「自信を持って!」「平常心で!」「集中!」などと、つい声をかけたくなる方もいるでしょう。
しかし、ただ声をかけるだけでは、かけられた側は具体的にどうすればよいかがわからず、メンタルの強化を期待できません。
メンタルの強化には、具体的な指示によって行動を変えて、気持ちや体の反応をコントロールすることが大切です。

例えば、次のように具体的な行動で表すとよいでしょう。

・「自信を持って!」→「胸を張って」
・「平常心で!」→「上を向いて」
・「集中!」→「大股で歩いて」

※1 厚生労働省.e-ヘルスネット「コンディショニング」
※2 わかる!使える!スポーツメンタルバイブル.笠原彰.株式会社学研プラス:2016.

集中力を高めやすくするためのトレーニング

集中力を高めやすくするためのトレーニング
トップアスリートも行っているメンタルトレーニングの技法の中から、「集中力を高めやすい状態に導くトレーニング」として、「呼吸法」「ルーティン」「イメージトレーニング」「セルフトーク」の4つについてご紹介します。

適度にリラックスした状態をつくり、集中しやすい状態をつくる

競技中、緊張し過ぎた状態では、不必要な力が入って体をスムーズに動かせなくなります。
それにより、競技に集中することも難しくなります。

競技に集中するためには、緊張しすぎず、リラックスしすぎない状態であることが必要です。
理想的な状態を保つための方法として、呼吸法をおすすめします。

呼吸法の習得には、普段から呼吸法を実践して、呼吸を整えることです。
その際、体と心がほどよくリラックスしている感覚を感じることが大切です。※3
親御さんは、お子さんと一緒に呼吸法を実践してあげたり、お子さんが緊張していて呼吸法を忘れていたら、呼吸方のアドバイスをするなどのサポートをしてあげましょう。

息を吸うとき
・背筋を伸ばして目を見開き、両肩を上げながら大きく鼻から息を吸う。
・息を吸うときには、新鮮な酸素と快適なエネルギーが体に入って来ることをイメージし、体と心がエネルギーで満ち溢れてくることを感じる。

息を吐くとき
・不快なエネルギーが出ていくことをイメージし、体と心が落ち着いていくことを感じる。

自然な呼吸
・徐々に自然な呼吸へと戻しながら呼吸に応じて変化する体と心の状態をゆったりと感じていると興奮状態が落ち着いてリラックスしていく。

息を吸うとき ・背筋を伸ばして目を見開き、両肩を上げながら大きく鼻から息を吸う。
・息を吸うときには、新鮮な酸素と快適なエネルギーが体に入って来ることをイメージし、体と心がエネルギーで満ち溢れてくることを感じる。
息を吐くとき ・不快なエネルギーが出ていくことをイメージし、体と心が落ち着いていくことを感じる。
自然な呼吸 ・徐々に自然な呼吸へと戻しながら呼吸に応じて変化する体と心の状態をゆったりと感じていると興奮状態が落ち着いてリラックスしていく。

※3 スポーツメンタルトレーニング教本.三訂版.日本スポーツ心理学会.株式会社大修館書店:2016.

ルーティンで集中力を高める

ルーティンとは、ある決まった行動をいつも同じ順序と速さで行い、集中力を高める動作を指します。
トップアスリートではない一般人でも、緊張するシーンの前にルーティンを行うことで集中力を高められるという報告がされています。※3

以下のポイントを参考に、普段お子さんが何気なく行っている動作をルーティンとして取り入れ、緊張する場面で実践してみましょう。

・瞬間的な集中力を必要とする動作の方がルーティンによる効果が得られやすい※4
(バレーボール・テニス・卓球のサーブ、サッカーのPK、バスケットボールのフリースローなど)
・普段何気ないうちに習慣となっている動作には心を落ち着けて集中しやすくなる効果を期待できる(腕を組む、手を組む、腕まくりをするなど)※4,※5
・日常生活の中にルーティン動作をとり入れて繰り返すことで試合本番でも集中力を高める効果を期待できる(歯磨きを行う前に腕を組み、歯磨きを集中して行うなど)※4

※4 J-STAGE.ルーティン動作が非アスリートの集中力と作業精度に及ぼす効果
※5 日本経済新聞.日々実践 メンタル向上術 試合・本番での集中力 心理的テクニックで効果的に

イメージトレーニングで本番で集中し、ベストプレーを出せるようにする

メンタルトレーニングの技法の一つである「イメージトレーニング」は、心の中で自分のプレーを想像して行う練習法です。
イメージトレーニング中にも、実際の運動中と同様、脳の領域における活動があることが研究成果として確認されています。※6

本番で集中するためのポイントとして、鏡の前で行うイメージトレーニングもおすすめです。
自分のベストプレーをイメージしながら、鏡の前でゆっくりと身体を動かしましょう。
親御さんは、以下のようなことをお子さんにアドバイスしてあげるといいでしょう。

・プレーを外から見ている様子をイメージするのではなく、実際に自分がプレーしていることをイメージする方がよい※3
・いきなりトップアスリートのスーパープレーをイメージするのではなく、今までの自分のベストプレーや今の実力で手が届く理想的なプレーをイメージする※2
・実際のボールの重みを感じながら投げる、打つ、蹴るなどをイメージする※2
・鏡を見ながら実際に体を動かすトレーニングでもよい※2
・初めのうちはゆっくりとイメージをする※2

※6 運動イメージと運動パフォーマンス.水口暢章,彼末一之

ポジティブなセルフトークで集中力を高める

セルフトークとは、自分で自分に語りかけることです。
ポジティブで前向きなセルフトークは、感情や行動に良い影響を与え、理想的なパフォーマンスにつながります。
反対に、ネガティブで後ろ向きなセルフトークは、不安や恐怖が増して、集中力や自信を失う結果につながります。

お子さんが自分自身に対してポジティブな言葉を使えるように、親御さんが見本となって、日頃から「いいね」「ナイス」などのポジティブな言葉を使うように心がけると良いでしょう。※7

・「集中して見よう」「私はできる」などの言葉がパフォーマンスを向上させることが報告されている※7,※8
・日常生活においてもポジティブな言葉を使うように心がけることで、試合時にも自然にポジティブなセルフトークが行える※9
・日常生活で「今日も一日がんばるぞ」「良い調子」「いいね、ナイス」など、自分自身にも相手に対してもプラス思考な言葉をかけられるように練習をする※9

※7 J-STAGE.セルフトークが運動パフォーマンスに及ぼす影響
※8 J-STAGE.セルフトークの精神生理学的効果について
※9 公益財団法人東京都スポーツ文化事業団.プラス思考のセルフトークで 心の競技力を向上する! ~メンタルトレーニングの重要性(まとめ)~

質の良い睡眠を十分にとることも重要

メンタルトレーニング以外に、子どもさんの集中力を高めるためには、質の良い睡眠を十分にとることも大切です。

睡眠時間の減少は集中力を低下させると言われています。※10
集中力の低下を防ぐため、毎日の生活リズムを整えて十分な睡眠時間をとるようにしましょう。
スマホが近くにあると集中力の低下を起こすことも言われています。※11
「スマホをだらだらと見続ける」「家に居る間スマホを放さない」などの場合は、スマホを使う時間について家族でルールを決めるなど、長時間の使用は控えましょう。

特に、スポーツ大会の前日やテスト前日には、質の良い睡眠を取ることをお子さんにすすめてあげてください。

※10 厚生労働省e-ヘルスネット.睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響
※11 NATIONAL GEOGRAPHIC.スマホがあると退屈で集中力低下、海外の研究事例

まとめ

スポーツの競技中に集中力を高める方法として、トップアスリートが行っているメンタルトレーニングをヒントに、日常的に実践できるトレーニングを紹介しました。
スポーツ時の集中力を高めるためには、まずは日々の生活のリズムを整えて十分な睡眠をとることが大切です。
更なるパフォーマンスの向上を望んでいる方は、ぜひ取り入れてみてください。

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