気温と湿度が上がりはじめる5月ごろより、熱中症が発生する危険度は高くなります。
総務省の発表によると、令和2年6月から9月の全国の熱中症による救急搬送者は6万4,869人です。
そのうち、57.9%にあたる3万7,528人は65歳以上の高齢者となっています。※1
高齢者は、加齢により暑さに対する機能が低下していることや、水分管理や暑さ対策が不十分となりやすいことから、熱中症になりやすい状態です。※2,※3,※4,※5
また、高齢者の約4人に1人は認知症、または軽度認知障害(MCI)(2012年度調査)と言われており、高齢者の中でも認知機能の低下がみられる認知症予備軍の人は、とくに熱中症のリスクが高くなります。
認知症予備軍の人は、判断力や記憶力などの認知機能が低下するため、こまめな水分補給や暑さ対策が難しくなるからです。
この記事では、高齢者や認知症予備軍の人はとくに注意したい熱中症の予防と対策について紹介していきます。
※1 総務省.令和2年(6月から9月)の熱中症による救急搬送状況
※2 改訂第2版 熱中症.へるす出版第II章日本における熱中症の現状 6.在宅症例における日常診療での熱中症対策について
※3 環境省熱中症予防情報サイト.高齢者と子供の注意事項 38P
※4 戸田病院 認知症疾患医療センター.認知症トピックス:熱中症に気をつけましょう
※5 日本救急医学会.熱中症診療ガイドライン2015 3P
熱中症とは
熱中症とは、気温や湿度が高くなった環境に体が対応できなくなることで生じる症状の総称です。
熱中症では、主に次の症状がみられます。
・めまい・立ちくらみ・意識が薄れる
・顔のほてり
・腹痛
・頭痛
・こむらがえり(筋肉のけいれん)
・吐き気・嘔吐
・体のだるさ
・汗が止まらない・全く汗が出ないなど汗のかき方に異常がみられる
・体温が高い
・皮膚をさわると熱い・皮膚が赤くなって乾いている
重度の熱中症の場合は、上記に加えて、「ひきつけ」「声をかけても反応しない」「返答がおかしい」「まっすぐに歩くことができない」「水分を自分で摂ることができない」などの症状がみられます。
すぐに対応しないと危険なため、熱中症が疑われる場合には、すぐに医療機関を受診するか救急搬送の手配をしましょう。
高齢者と認知症予備軍が熱中症に注意が必要な理由
熱中症は、体が暑さに対応できない状態や不十分な水分摂取といった要因が重なり、体に熱がこもることで発生します。※7
特に、高齢者は熱中症への注意が必要です。
高齢者が熱中症になりやすい理由として、次のことが挙げられます。
・高齢者は体内の水分量が若年者に比べて少ないうえ、体内の老廃物を尿として排出する際に多量の水を必要とするため、体内の水分が不足しやすい※8
・高齢者は加齢によって感覚が鈍くなり、喉の渇きや暑さを感じにくくなる。体温調節のための発汗機能も低下するため、体に熱がこもりやすい※8
・エアコンの冷気や扇風機の風が苦手と感じる人が多く、部屋の温度・湿度を適切に保てず、熱のこもった室内で過ごすことが多い※8
・トイレの回数が増えるので水分摂取を控えたり、電気代が気になりエアコンをつけないなど、水分不足や室温上昇を招きやすい
高齢者特有の熱中症になりやすい体の状態に加えて、認知症予備軍の人は、周りの環境に合わせて適切な対策をとることが難しいという特徴があります。
判断力や記憶力などの認知機能が低下している認知症予備軍の人は、「水分をこまめに摂取する」「暑さに対して涼しい洋服を選択する」「外出のときは暑さを避ける」「室温を適切に管理する」といった対策をとることが困難です。※4
水分摂取や適切な衣服の選択、暑さを避けた行動、室温管理など、周囲の人のサポートが必要となります。
※7 環境省.熱中症予防情報サイト.熱中症の予防方法と対処方法
※8 環境省.熱中症 ~思い当たることはありませんか?~
高齢者と認知症予備軍の熱中症予防と対策
熱中症は、重度になると危険性が高まるだけでなく、脳梗塞などの病気を起こすリスクも高くなります。
病気のリスクを避けるためにも、熱中症になりやすい高齢者や認知症予備軍の人は、とくに熱中症に対する予防対策が必要です。
感染症対策が必要なコロナ禍では、常時マスクの着用が必要とされます。
マスクをしていると、マスクの中の湿気で喉の渇きを感じにくく、顔に熱がこもりやすくなって熱中症のリスクが高まります。
熱中症予防と対策のポイントに加え、コロナ禍におけるマスク着用時の注意点についても説明します。
水分摂取のポイント
喉の渇きを感じにくい、トイレに行きたくなるので水分摂取を控えるなどから水分不足になりやすいため、こまめな水分摂取を意識しましょう。
水分摂取時には、以下のポイントを参照してください。
・喉が乾かなくても水分を摂る※3
・こまめに水分を摂る※9
・水分が不足しやすい寝る前、朝起きた時、スポーツ中とスポーツを行う前後、入浴の前後に水分を摂る※10
・熱中症では水分とともに塩分も失われるため、水分と塩分をバランスよく補える経口補水液を活用する※5
・利尿作用のあるアルコールを避ける※10
・カフェインの含まれるものを避ける※10
・吸収までに時間がかかる砂糖や塩分が多く含まれるジュース類を避ける※10
・水分の温度は吸収されやすく、体を冷やしやすい5~15℃にする※11
※9 厚生労働省.みんなのメンタルヘルス 認知症
※10 厚生労働省.「健康のため水を飲もう」推進運動
※11 環境省熱中症予防情報サイト.熱中症を防ぐためには
暑さ対策のポイント
熱中症を予防するために暑さを避けることが大切です。
高齢者の熱中症の半数以上は自宅で発生しているため、外出時だけでなく、室内の環境にも注意する必要があります。※12
外出時には、行動や服装、室内の環境に配慮しましょう。
・通気性のある素材や吸汗・速乾素材などの涼しい素材を活用する
・風通しのよいゆったりとした服や襟元の開いている服を選ぶ
・外出時は日傘や帽子などで直射日光を避ける
・炎天下では輻射熱を吸収する黒色の服装や小物は避ける
・エアコンを活用して室温・湿度を調整する
・暑い日や暑くなる時間の外出は避け、外出の際は日陰や涼しい場所を選んで行動する※11
体づくりのポイント
熱中症は、体が暑さに慣れる前に起こりやすい傾向があります。
暑くなり始めの時期でも、とくに急に暑くなった日や熱帯夜には、注意が必要です。
体を暑さに慣らすために、本格的に暑くなり始める前から体づくりを行いましょう。
例えば、暑くなり始めの時期に外に出て、ウォーキングなどの運動を毎日30分程度行い、汗をかく習慣を身につけることがおすすめです。※12
マスク着用時のポイント
マスクをしていると、体感温度や心拍数、呼吸数、血中二酸化炭素濃度が上がって体に負担がかかるおそれがあります。
マスクをしたままでの激しい運動を避け、気温や湿度の高い日には、他の人と2m以上の距離をとってマスクを外しましょう。※12
まとめ
高温多湿の夏場は、熱中症を発症しやすい環境です。
高齢者は、熱がこもりやすい身体的特徴と、暑さに対する適切な行動がとりにくいことから、熱中症になるリスクが高いと言えます。
熱中症を予防するため、水分補給や暑さ対策、体づくりのポイントをおさえた対策をとりましょう。
特に、認知機能が低下している認知症予備軍の人は、自身の判断で熱中症を防ぐための行動をとることが困難です。
自分で対策をとることが難しい認知症予備軍の人には、周囲の人がサポートしてあげましょう。
また、感染症対策のためにマスクを着用していると、体感温度が上昇しやすく、体への負担も大きくなるおそれがあります。
夏場は他の人と十分に距離をとったうえでマスクを外して休憩の時間をとりましょう。
めまいや顔のほてり、体のだるさ、吐き気、筋肉のつりなどの症状がある場合には、熱中症の疑いがあります。
自分で動ける状況であれば医療機関を受診しましょう。
自分では動けない状況の場合には、すぐに救急車を呼んでください。
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