睡眠不足が心と体に及ぼす影響とその対策

仕事が忙しい時はつい睡眠時間を削ってしまい、睡眠不足になっていないでしょうか?
実は、睡眠不足は私たちの体に悪影響を及ぼします。
睡眠不足をたった2日続けるだけで影響が出始め、最悪の場合うつ病にかかってしまいます。

この記事では、睡眠不足が体に及ぼす影響とその対策について解説します。

今野 裕之

この記事の監修者

今野 裕之医師

精神科、心療内科医、認知症診療医

ブレインケアクリニック名誉院長 ・一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長
順天堂大学大学院卒業。老化予防・認知症予防に関する研究で博士号を取得。大学病院や精神科病院での診療を経て2016年にブレインケアクリニック開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、一人ひとりの患者に合わせた診療に当たる。認知症予防医療の普及・啓発活動のため2018年に日本ブレインケア・認知症予防研究所を設立。 著書・監修に「最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術(青春出版社)」など。

多くの日本人は睡眠不足

睡眠不足とは、文字通り十分な睡眠が取れていない状態のことを指します。

人間の適切な睡眠時間は人によって異なりますが、大体約6〜8時間が理想だと言われています。しかし、NHKの調査によれば、日本人の年間の平均睡眠時間は減少傾向にあることがわかっています。特に、30代〜50代の男性と40代・50代の女性の、平日における睡眠時間が短くなっています。※1

また、2018年のOECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本人の平均睡眠時間は7時間22分であり加盟国38の中で最も短いことがわかりました。加えて、睡眠時間が6時間未満の日本人が日本の人口の約4割を占めることも報告されました。※2

このように、特に日本では睡眠不足が社会問題の一つとなっています。

※1 NHK.6~8時間が理想?睡眠不足解消につながる適切な睡眠時間とは
※2 厚生労働省.日本の平均睡眠時間

睡眠不足が体に及ぼす影響


では、睡眠不足は私たちの体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

1日くらいの睡眠不足であればそれほど大きな問題にはならないと思いますが、それが毎日続くと体に悪影響が出て健康状態が悪化してしまいます。このように睡眠不足が溜まっていく状態は、「睡眠負債」と呼ばれています。※3

ここでは、睡眠不足が体に及ぼす影響を具体的に解説していきます。

※3 PHILIPS.日本人の4割近くが抱える「睡眠負債」。睡眠不足を解決するソリューションとは?

【影響その①】認知機能の低下

睡眠時間が短くなれば、仕事や学習に必要な認知機能が低下してしまいます。

具体的には、作業記憶(ワーキングメモリ)や注意機能の低下が指摘されています。
また睡眠不足によって、気分の低下、緊張感,疲労,混乱などが起こりやすくなることが報告されており 、最悪の場合、それは仕事のミスや事故を招いてしまう可能性があります。※4

一方、脳の中では、睡眠不足になると頭の前方にある前頭葉とその後方にある頭頂葉の活動が減少することが知られています。※4
つまり、睡眠が不足すると脳の活動は大きく低下し、結果的には集中力が低下してしまいます。

※4 】認知機能の低下” target=”_blank” rel=”nofollow noopner noreferrer noopener”>睡眠負債による脳機能への影響.元村祐貴.睡眠医療12.337-343:2018

【影響その②】うつ病にかかりやすくなる

睡眠不足の状態が続くと、それによるストレスが伴い蓄積されていきます。
その悪循環により体を休ませることができない状態が続くと、うつ病にかかってしまう可能性も高くなります。※5

国立精神・神経医療研究センターの研究によれば、健康な成人男性14人が1日の睡眠時間4時間を5日間続けたところ、うつ病に似た症状が見られたことがわかりました。
具体的には、睡眠不足状態の脳はネガティブな感情的刺激に敏感になっており、うつ病や統合失調症の患者の反応とよく似ていることがわかりました。※6

※5 e-ヘルスネット.健やかな眠りの意義
※6 Science Portal.睡眠不足で情動不安定や抑うつに

【影響その③】太りやすくなる

睡眠不足は体内のホルモン分泌に影響を及ぼし、太りやすくなってしまいます。

例えば、4時間の睡眠をたった2日続けただけで、食欲を促進するホルモンであるグレリンの分泌量が増える一方で、食欲の抑制に重要なホルモンであるレプチンの分泌量が減少します。
その結果、食欲が増大して体重が増えてしまいます。※7

また、筑波大学のマウスを使った研究によれば、寝不足により糖分と脂質の摂取量が増加することがわかりました。
これが人間についても同じことが言えるのであれば、それらの摂取量が増加し体重も増加するでしょう。※8

※7 e-ヘルスネット.睡眠と生活習慣病との深い関係
※8 IIIS.寝不足はダイエットの敵 睡眠時間が足りないと甘いものがほしくなる理由

【影響その④】糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなる

先述したように、睡眠不足はストレスを招きます。

ストレスが増大すると、副腎皮質ホルモンの一つであるコルチゾールの分泌量が増えることにより、血糖コントロールのバランスが崩れてしまいます。
コルチゾールの分泌量増加により血糖値が上昇し、これが肥満ホルモンとして知られているインスリンの分泌を促進します。
インスリンは細胞による糖の吸収と脂肪の蓄積を促し、結果として糖尿病にかかるリスクが上がります。
また、寝不足により肥満・脂質異常症・高血圧といった生活習慣病が起こりやすくなることが知られています。※9

※9 e-ヘルスネット.睡眠と生活習慣病との深い関係

【影響その⑤】頭痛

寝不足によるストレスの増大は頭痛を招くこともあります。

頭痛には様々なタイプがありますが、ストレスによって生じる頭痛は多くの場合緊張型頭痛です。
ストレスによる筋肉の緊張や血流の低下、筋肉での疲労物質の蓄積などが、緊張型頭痛の原因と言われています。
このタイプの頭痛の主な特徴は以下の通りです。※10,※11

・後頭部およびその付近での痛み
・首や肩のこりが伴う
・重苦しい感じあるいは頭を締め付けられているような感じ

※10 国立長寿医療センター.頭痛の原因は?
※11 MSDマニュアル家庭版.緊張型頭痛

睡眠不足の対策


睡眠不足の対策として様々なものが考えられますが、個々の状況によって適切なものを選択するべきでしょう。
ここでは、睡眠不足の代表的な対策を2つご紹介します。

【睡眠不足対策その①】生活リズムを一定に保つ

私たちは朝起きて、朝食を取り、学校や職場へ行き、帰宅後に夕食を就寝などの活動を毎日繰り返しています。
これは生活リズムと呼ばれています。

睡眠対策の一つとして、この生活リズムを一定に保つことが重要です。
これによって、決められた時間に寝て決められた時間に起きることが可能になり、十分な睡眠時間を確保できるでしょう。

また、起きた際にカーテンを開けて日光を浴びることも重要です。
日光を浴びると、私たちの体の睡眠パターンをコントロールしているホルモンであるメラトニンの分泌量が増加します。
このメラトニンは、決められた時間に眠ることを促進してくれます。※12

※12 e-ヘルスネット.メラトニン

【睡眠不足対策その②】寝る前に体をリラックスさせる

体が興奮して眠れない時があるかもしれません。
そのような時には、寝る前に体をリラックスさせることが重要です。
軽い体操やストレッチ、ぬるめのお風呂に浸かる、ゆったりとした音楽を聴く、好みのアロマオイルの香りを嗅ぐ、ハーブティーを飲むといったことを試してみてください。
気持ちを落ち着けるハーブとして、ラベンダーやカモミールなどが知られています。

まとめ

睡眠不足が体に及ぼす影響とその対策について解説しました。

睡眠不足によって肥満や頭痛を引き起こし、最悪の場合、糖尿病などの大きな病にかかってしまうことがあります。
そのような最悪の事態になる前に、ここで紹介した睡眠不足対策を参考にしながら、なるべく早く睡眠不足を解消することをおすすめします。

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