2022. 03. 07 18:26

ビール数本分のホップを使った、本場ドイツを超えるグミ開発に、キリン社内ベンチャーが挑んでみた

note

INHOP金子CEOが、自身のnoteに寄稿した「シンキングサプリ・ホップイングミ」の開発秘話。
ホップを使ったグミを開発しよう思った背景や、
製品にする際に技術的なハードルがどこにあったか、などを語っています。

「商品化はちょっと難しいんじゃないでしょうか。ホップエキスを均一に混ぜられませんし、そもそも苦すぎです」

開発当初、こんな言葉が聞こえてきました。実際難しかったです。
が、無事に商品化でき、多くの方に御評価いただけているのは、ひとえにお力添えいただいた皆様のおかげです。ありがとうございます。

というわけで発売したINHOP最初の商品の1つ。
シンキングサプリ「ホップイングミ」。
キリン独自の健康素材「熟成ホップエキス」を配合した、世にも珍しい苦味が美味しいグミで、シリーズ化もされている弊社自慢の商品です。

「手軽に食べられるホップ商品」を目指したこの商品。今回は、ホップイングミ開発について技術者としてのこだわりを書いてみようと思います!

何でグミを作ろうとしたの?

私はグミが好きです。と言っても、グミを常備しているとか、新商品出れば必ず買うとか、そこまでのマニアではないです。気が向いたら買って食べるレベルです。市販のグミはどれも美味しいですが、気になる点が一つ。全体的に甘いんですよね。まぁ子供向けなので当然ですが、35歳(開発当時)としては、ちょっと甘いな、と思っていました。

私の話はさて置き、ホップイングミに話を戻します。
INHOPのミッションは日本国内でホップのビール以外の可能性を示すこと
であれば、いきなりオリジナルを作るよりは、ホップの本場に学ぶところからです。守破離でいうところの守ですね。

ホップの本場と言えばドイツ。実際に、ドイツの商品を見てみましょう。

ドイツのホップ商品たち

さすがホップの世界的産地。ハーブティやシロップ、ソルトやリキュール、サプリメントや入浴剤など、いろいろな商品が販売されていますが…、ホップを使ったグミやチョコも販売されています(写真中央右のBio Fruchtehenがホップグミです)。
このグミを食べたところ、酸味が効いてて美味しかったのですが、そんなにホップ感は感じませんでした。

となれば、目標がはっきり決まりました。
本場にならい、ホップを使ったグミです。
開発に際しての条件は2つ。
 ①ドイツの商品以上にホップ感を感じられること
 ②私が食べたくなる、甘すぎない風味にすること
です。

技術的なハードル

ただ、私はお菓子の商品開発をしたことはありません。飲料ならば、キリン時代に開発していたので勝手がわかりますが、固形物は初です。味の勘所も怪しいです。
なので、味覚開発のパートナーとして、ミシュランガイド東京に3年連続掲載されているレストランsioの鳥羽周作オーナーシェフに味覚監修をお願いしました。五味を操るシェフの力は、まさに百人力。試作を重ねる中で、柑橘系の風味との相性がいいことがわかり、味の方向性は決まりました。

商品にするには工場で製造できることが不可欠。そこで製造工場と相談をすると、技術的な課題が2つ、大きく立ちはだかりました。

①ホップを均一に混ぜられない
(方向性は決まったけど)商品化するには、まだ苦い

これが冒頭の発言につながります。どちらもホップを使いすぎなのが原因。
ちなみに、使っている量は写真の通り。

ホップイングミ製造に使うホップの量。グミ1粒にホップ2粒くらい使っている計算です

苦味を抑えるキリン独自の熟成技術を使っているとは言え、ホップを使いすぎです。(製造原価として、今も私を泣かせてます…)

とは言え、”製造できないからホップを減らす”という選択は、ホップを愛するINHOPとしても、長年ホップを扱ってきた技術者としても、とても選べません。このハードルを何とか超えなきゃいけません。製造工場と色々検討しましたが、解決の決め手になったのは飲料開発時の経験でした。ホップを使った飲料を開発していた際の工夫・ノウハウがハマりました(もちろん、製造工場の皆様のご尽力あってこそ、です)。

検討の結果、ホップを均一に混ぜられるようになり、苦味を美味しく活かせるようになりました。開発期間10ヶ月。思ったよりかかりましたが、多くの方のお力添えにより、ホップをたっぷり使ったクセになる美味しさのシンキングサプリ「ホップイングミ」が完成しました。

歴史的なホップ産地での評価

無事に発売できたホップイングミ。

・苦味がクセになる
・甘みが強すぎないので食べやすい
・グレープフルーツの果皮っぽい、ホップを感じられる
など、お客様からありがたいコメントを頂けています。
(個人的には、4歳娘の「苦いのはキライだけど、このグミは甘苦でオイシイ」というコメントが一番うれしい!)

一方、ホップ産地で販売されている商品を参考に開発したホップイングミ。ホップ産地でどのような評価を受けるか、開発者としては気になるところです。本来ならば、ドイツに行き、ホップ栽培している人たちに食べてもらう、とかできたでしょうが、このご時世では、さすがに持っていけません。

なので、ドイツのお隣、ベルギーで開催される味覚品評会(International Taste Institute、国際味覚審査機構)に応募しました
ベルギーと言えば、ホップの栽培量こそ少ないですが、ビール大国の一つとしてホップ栽培の歴史は古く、ホップ博物館を有する歴史的なホップ産地。この地でホップイングミがどんな評価を受けるか、非常に気になります。

結果は…優秀味覚賞一つ星を受賞!
星を獲得できない商品も多い中、初挑戦で嬉しい限りです!
審査員からも、”フルーティーなホップ感が表現できている”とコメントいただけ、目指す味覚の方向性がちゃんと評価されました。開発者として、非常に嬉しい限りです。

今後の開発

発売して早1年半。ホップイングミをご愛顧頂けるお客様は増えており、シリーズ品の発売もできました(こっちの商品も、どこかでnote書きたいところです)。
「手軽に食べれられるホップ商品」としての役回りは、しっかり果たせています。

ただ、心残りが一つ。
ホップ産地であるドイツの事例を応用して、日本でホップの新しい可能性を示そうとしているんですが…
ホップイングミに使っているホップって、ドイツ産なんですよね。。。

もちろん、ドイツ産を選んだ理由はあります。
今回使った「熟成ホップエキス」はホップの苦味を活かした健康素材。だからホップの苦味が強いビターホップであることが大切です。
しかし、日本産ホップでたくさん手に入るビターホップはなく、世界有数のビターホップであるドイツのHallertau Herkules(ハラタウ ヘラクレス、強そうな名前です)という品種を使いました。ヘラクレスを使ったからこその美味しい苦味であり、優秀味覚賞なので、悔いは全くありません。

となれば開発者としてはやることは一つ。
日本産ホップを使ったホップイングミの開発です。香りが特徴的な日本産ホップをどのように活かすか、まだイメージ固まってないですが、新しい可能性を示せるように頑張ります。
もし、こんな商品だといいんじゃない?というアイデアやご意見ありましたら、是非コメントいただけると嬉しいです!

金子CEOのnoteはこちら