2022. 10. 28 09:04

熟成ホップは中高生の「社会接続」に役立つことが出来たのか? N/S高・N中等部 × INHOP「商品化プロジェクト」振り返り対談 <第2回>

INHOP Journal

2021年夏にINHOPと角川ドワンゴ学園で実施した、体験型学習プログラム「デザイン商品化チャレンジ」について、
お力添えをいただいた角川ドワンゴ学園経験学習部のお二人に、色々なお話をお伺いしました。
第2回は、N/S高・N中等部が大切に考えている「生徒たちと社会との接続」についてです。

金子:
今回プロジェクトを進めていく中で「社会接続」という言葉が出てきて、INHOPとしてもプロジェクトの着地をどういうカタチにするのが良いのか、きちんと考える必要があると思いました。ちゃんと売ってお届けして、企業活動につなげていくっていうことも含めてやらないと社会接続にならないんじゃないかと考えて、それがモチベーションになって頑張れたという側面があります。

すごく大きい言葉だったなと思ってまして、そういう意味で社会接続というキーワードに対して、学園の中では当たり前の概念になるかもしれないですけど、我々からすると結構ハッとさせられたところもあるので、そのあたりの話をお聞きできますか?

INHOP代表取締役:金子裕司

園:
これは我々の学園だけではなくて、教育業界全般でよく社会接続という言葉が使われるんですね。「キャリア教育による社会接続」とか。

我々の学園では、生徒の自由な時間がすごく多いんです。 その自由な時間の使い道のひとつとして、こうやって企業の方と一緒に授業をやらせていただいて、それも教室の中でだけ完結するようなことをオンラインでやるのではなくて、実際にそこから一歩踏み出して、生徒が企業と一緒に何かやるといったところまで行います。

商品パッケージデザインや商品について考えるだけでも社会接続ですし、それを実際に形にして、クラウドファンディングを行うのも社会接続と言えます。学園では社会接続という言葉を日常的に使っていますが、こうやってプログラムを通じた社会接続をINHOPさんと一緒に行わせていただいたことは、改めて社会接続とは何かを考えるいい機会だったとすごく感じています。

角川ドワンゴ学園 経験学習部:園利一郎さん

平岡:
生徒は通常、年齢の近い人たちのコミュニティの中で色々なことを学んでいます。それもすごく大事なことだと思うのですが、大学生や社会人になって、少し年の離れた方々と接する機会が増えることで、さらにいろんなことを学んでいったなと僕自身も思っているので、そういう機会をプログラムを通して生徒に提供していくことができたら良いなと。いかに学園外の人たちと繋がっていくかということも、非常に大事なポイントなのかなと個人的には思っています。

金子:
確かに生徒さんから見たときには、我々企業と一緒に取り組みをするという時点で、ある程度社会接続が満たされていると思うんですけども、実際作ったものを外の人に見てもらって、さらに販売してお金を頂戴するとなると、結構な差なのではないかと思うんですね。
実際に、出来上がってきた成果物が凄かったですし、この年齢でここまでやり切りましたという風に言える経験というのは、この先5年10年後、もっと先まで見据えると、ものすごい大きい財産になるのではと思っています。

園、平岡:
本当に、INHOPさんのおかげだと思ってます(笑)。

金子:
生徒さんから見ると、商品のデザインを作りましたというところから、じゃあ実際クラウドファンディングしますというところで、フェーズがガラッと変わっているはずなんですけれども、その点についての生徒さんたちの受け止め方は、どういう印象でしたか?

平岡:
最初は「商品化するんだ、嬉しい」という感情をすごく表してくれて、本当に実現できてよかったなと思いました。プログラムの途中で、ちゃんとパッケージにするためには生徒が作ったデザインに対して細かい修正が必要だったりして、そこで生徒が少し悩んでいる様子もあったので、自分がフォローに入ろうかなと思った瞬間もありました。でも、仕事をするにあたってデザイナーとしてこういう考え方もできるんだよ、といったことをお話ししていただいたおかげで、「そうか、そういう風に考えて頑張ればいいんだ」という発想が出てきたのは大きな学びだっただろうと思います。そういったことを高校生のうちに経験できて、生徒たちはすごい大きなものを持って帰ってくれたのかなと、個人的には感じています。

角川ドワンゴ学園 経験学習部:平岡駿さん

園:
プログラム全体を見ていると、特に後半の方ですね。チャレンジが大きくなっていくところで 周囲からのサポートが非常に大きかったと思っています。

例えば今回優秀賞に選ばれた生徒の場合も、親御さんがすごくポジティブに応援して見守っていただいたり、生徒が所属しているコースのクラスメイトや教職員から「すごいじゃん」と声をかけられたり。

そういったことがあって頑張れているというのは、見ていて感じました。やっぱり周囲にポジティブな後押しをしてくれた人たちがいたから、多少身の丈に合わないような大きな目標を立てたとしても、何とかやっていけたというのが大きいんじゃないかなと感じています。

金子:
サポートできる、その周囲の環境というものが、N/S高の中に築かれてるんですね。

平岡:
そうですね、本当に機会をいただけたこともそうですし、それを生徒がちゃんと掴み取ってくれたというのもすごく大きかったのかなと思います。プログラムに応募してくれた24名の生徒は、その後もいろんな他のプログラムに積極的に応募してくれるようになりました。これが初めての体験学習プログラムだった生徒も結構いたんですが、ここから「もっとやりたい」という風になって、いくつもプログラムに応募してくれる生徒がいたのも個人的にすごく嬉しかったです。本当に、一つの大事な成功体験になっていったんだろうなという感覚がありますね。

今回はここまで。次回はプロジェクトで取り上げた「熟成ホップという題材について」をテーマにお話をお伺いします。お楽しみに!