試験勉強や受験勉強などで効率よく勉強したいと思っていても、他のことが気になったり、体調を崩したりしていると集中力が続かないことがあります。勉強の効率をアップさせるには、集中力が切れてしまう原因を知り、対策を講じることが大切です。
この記事では勉強の効率を上げるために、集中力が切れる原因とその対策方法をお伝えします。
集中力が続かないのは脳科学的に実証されている?
勉強中は高い集中力をなるべく維持して、効率よく進めたいものですよね。
しかし、だからといって休憩を取らずに長く勉強を続けていると、途中で集中力が切れてケアレスミスをしたり、暗記がはかどらなくなったり、かえって効率の悪い勉強をしてしまうことがあります。
では、なぜそのようになってしまうのか?というと、実は「集中力は維持できる時間に限りがある」ということが脳科学の研究から示唆されているのです。私たち人間の脳は、単調作業の繰り返しや時間を持て余すことで脳の活動レベルが下がり集中力が低下しやすいと言われています。※1
また、人の集中力は15分周期で、かつ最長持続時間は概ね60~90分程度とも言われており、小学校から大学までの教育課程では1単位あたりの授業時間が45~90分と設定されているのは、この集中力の周期を鑑みて、学生たちがより高い集中力で勉強できるようにその時間設定になっているようです。
このように、集中力の持続時間を踏まえた勉強のタイムマネジメントをすることは、効率の良い勉強を実現するために有効な対策のひとつと言えるでしょう。
例えば60分に1回は席を立ってリフレッシュする、切りのいいタイミングでコーヒータイムを挟むなど、勉強と休憩のメリハリをつけることで、勉強の効率アップに効果があると考えられますので、まずは勉強の時間設定を見直してみてください。
※1 人間工学. 2002. 38(1): 32-43.
休憩時の覚醒度変化がその後の作業成績に及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jje1965/38/1/38_1_32/_pdf
勉強の効率が落ちる原因とその対策
勉強の効率が落ちるのは集中力が長続きしないからだけではありません。勉強に対する苦手意識や睡眠、飽きやすさ、生活リズムの乱れなども勉強の効率を下げる原因です。それぞれを解説します。
勉強に苦手意識がある
苦手な科目になると途端に集中できなくなったという経験はありませんか?
苦手意識があると、勉強すること自体にストレスを感じてしまったり、なかなか前向きに取り組めない一方で、逆に自分の得意なことだと、集中が長く続き、高い意識で取り組むことができるという話はよく聞かれます。
そういった経験に心当たりのある人は、まず自分の好きな科目や得意な問題から少しずつ勉強に取り組んでみて、勉強をする楽しみや、問題が解ける嬉しさを覚えることから始めてみてはいかがでしょうか。苦手な科目を無理にやり続けることで、そのストレスが勉強自体への苦手意識へと繋がってしまうと、本来は好きな科目や得意な問題に対しても前向きに取り組むことができなくなってしまいます。好きな科目や得意な問題からスタートすると、その小さな「楽しさ」「嬉しさ」の積み重ねが自分の意識を勉強に対して前向きにしてくれるので、次第に勉強の苦手意識が薄れていき、その流れで嫌いな科目や苦手な問題に挑戦してみると、いつもより前向きに取り組むことができ、勉強の効率アップへとつながっていきます。
睡眠不足や食事後の眠気
意欲的に勉強に取り組んでいると、寝る時間を忘れて睡眠不足になりがちです。しかし勉強の効率を上げるためには十分な睡眠が必要不可欠です。実は、人は睡眠不足になると疲労がなかなか回復せず、集中力や注意力を始めとする様々な能力が低下することが研究結果からわかっています。※2
そのため、睡眠時間を削って勉強時間に当てたい気持ちもわかりますが、睡眠不足が結果的に勉強の質を下げてしまうため、その方法はおすすめしません。集中力を維持して勉強に取り組めるようにするために、睡眠時間の確保も勉強活動の一環として重要視し、しっかりと寝るようにしましょう。
また、夜しっかり睡眠をとっても、特に昼食後などは、血糖値が変動することで眠気が発生し、集中力が維持できないことがあります。
そんな時は、15分程度の仮眠がおすすめです。短時間の仮眠は、その後の作業効率を上げることも研究からわかっています。強い眠気で勉強に集中できなくなった時に無理に勉強を続けても、集中力を維持できず効率の悪い勉強になってしまうので、そんな時は、ぜひ短時間の仮眠を取るようにしましょう。※3
仮眠とまではいかずとも、目を閉じて音楽をゆったり聴く、等もお勧めです。
※2 心身医. 2007. 47:785-788.
シンポジウム 心身機能と睡眠障害 睡眠障害の社会生活に及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/47/9/47_KJ00004675970/_pdf
※3 生理心理と精神生理学 25(1):45-59,2007. 午後の眠気対策としての短時間仮眠
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjppp1983/25/1/25_45/_pdf
飽きやすい性格
人の性格の一つに「飽き性」というものがあります。
これも集中力が続かない原因の一つであることがあります。
ただ、「自分は飽き性だから」と勉強の集中力が続かないことを諦めてしまう前に、
勉強に飽きないようにする工夫をしてみてはいかがでしょうか。
例えば、勉強中に他のことに気が散ってしまう場合は勉強する環境が集中力を削いでいる可能性が考えられます。あなたが勉強する時の視界の中に、マンガやゲームなど、
目に入ると興味がそちらに移ってしまうものはありませんか?
もしそういうものが周りにある場合は、勉強する環境には参考書などの勉強に関するものだけを残し、その他の物はなるべく除外して、意識が勉強だけに向く環境を作りましょう。
45~60分間特定の科目や問題集をやり続けることに飽きてしまう、という場合は時間をより細かく区切って、取り組む内容を変えてみると良いかもしれません。
ただ、45~60分という時間はあくまで一般的な目安なので、そこに固執することが逆に合わないケースもあり得ます。そういった場合は、複数科目の問題集を用意し、1問解いたら他の科目の問題集に移るといった短期集中の取り組み方にしてみるなど、自分の集中が持続する独自の勉強法を試行錯誤しながら見つけ出しましょう。
目標設定が高すぎたり、抽象的だったりしてモチベーションが維持できず、飽きてしまっている場合もあります。例えば、「今日はこの問題集をやり切る!」「数学の苦手を克服する」など、その日だけで達成できる現実味があまりない目標を立ててしまっていませんか?そういった目標だと、気持ちが諦めモードになってしまい、集中力が切れ、勉強に飽きることに繋がっているかもしれません。そういう場合は、目標を細分化・具体化してみましょう。「今日はこの問題集をやり切る!」ではなく、「今日はこの問題集のP.●~●をやる」、「数学の苦手を克服する」ではなく、「数学で苦手な二次方程式の箇所を重点的にやる」といったように、実際にその日にやり切れそうな目標にすると、これだけはやり切ろうという意欲が湧き、飽きやすさをカバーすることにつながります。
そもそも人の性格は簡単には変えられないので、飽きやすい自分の性格を直す、という直接的な改善はなかなか難しいものです。ただ、飽きにくくするための工夫はできるはず。まずは集中を阻害する外的な要因から見直し、習慣や方法や環境を変えてみることで、飽きやすい性格をカバーできないかトライしてみてください。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れによりおこる体調不良も、勉強の効率を落としてしまう原因です。
生活習慣とは、暮らしや学業、仕事などさまざまなことに影響され時間をかけて身についた習慣を言います。
例えばこれまでに運動する習慣がない場合には、勉強に必要な体力がなく集中力が続きません。偏った食事ばかりをしていると、脳や体に必要な栄養が不足してエネルギー不足になることもあります。この頃勉強の効率が落ちていると感じたら、生活習慣における変化が悪影響を及ぼしているかもしれませんので、勉強の仕方だけでなく生活習慣もあわせて見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまでで、集中力が切れる原因とその対策についてお伝えしました。
脳科学的に、「集中力は維持できる時間に限りがある」という研究もありつつも、それを踏まえたタイムマネジメントや、その他の集中力を削ぐ原因をしっかり対策することで、集中力の維持・勉強の効率アップにつなげることができます。
今回ご紹介した
- 45~60分の目安で適度な休憩を挟む
- まずは好きな科目や得意な問題からはじめて勉強を習慣づける
- 集中力を維持するために、睡眠を十分に取る
- 飽きやすい性格で諦める前に、自分が飽きなくする工夫をしてみる
- 勉強の仕方だけでなく、生活習慣も見直してみる
といった対策がご自身に合いそうであれば、ぜひ取り入れてみてください。
あなたに一番あった方法を見つけて、効率的な勉強を目指しましょう。
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コロナによって大幅に増えた自宅での勉強時間。
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