熟成ホップ研究所

INHOP - The Hop Company

2020. 10. 20 15:00

熟成ホップ 研究者インタビュー ❶
形山幹生 主任研究員

キリンホールディングスが10年にわたり研究を続け開発した「熟成ホップ」。
この新しい健康素材の誕生の秘密について、研究者にお話をお伺いするインタビューのシリーズです。
開発者にしか分からない苦労やソリューションを掘り下げてお聞きしました。
第1回は『キリンホールディングス R&D本部 キリン中央研究所』の形山幹生主任研究員です。

集中力の向上や体脂肪の低減、認知機能のサポートなど、健康機能が認められた自然由来の素材「熟成ホップ」。この新しい健康素材の誕生の秘密について、実際の開発者にお話を伺いました!

第1回にご登場いただくのは『キリンホールディングス R&D本部 キリン中央研究所』の形山幹生主任研究員です。
学生時代は意外にも獣医学部に通われていた形山さん。獣医師としてキリンに入社し、新商品や新素材の技術開発に携わってきました。そのなかで、ホップの安全性を評価していたことが、ホップとの出会いでした。

新しいホップ素材開発への挑戦

ホップの健康効果への注目は、2000年頃からはじまっていました。ホップの苦味成分『イソα酸』に痩身効果があることが発見され、そのイソα酸を健康食品に展開可能な素材に仕上げることが形山さんの仕事だったそうです。しかし結果は「商品への展開は難しい」という厳しい判断でした。苦すぎて飲むことすらできず、また食品としての安定性も宜しくない。

しかし、この結果が形山さんを熟成ホップの研究へと突き動かすことになりました。「商品への展開が難しいと判断したなら、逆にどうしたらいいか考えてほしい」この上司の一言で、痩身効果を維持したまま、苦味を抑え、美味しく食べられるホップ素材を開発できるか。形山さんの挑戦が始まりました。

常識の逆をいく発想で壁を越える

イソα酸の苦味をどう落としていくか、というアプローチから研究がスタート。「糖で包む」「乳化」といった様々なアプローチによって、苦味を抑えることは可能に。しかし、熱殺菌や長期間保管すると、苦味がどんどん増えて、味の品質をクリアできないという問題が幾度も発生したそうです。皆さんに食べていただく商品に展開する以上、味・機能のバランスが最も重要。

そこで形山さんが目をつけたのが、ビール業界の常識でした。それは「古くなったホップは苦味が低下する」という現象。通常、ビールは美味しい苦味を付与するために、ホップの鮮度に気を使い、新鮮なホップを使っています。形山さんはあえてこの逆をいく発想で、苦味を消すことに挑戦したのです。

それは加熱熟成。自然の現象に頼ることでナチュラルに苦味を消す。化学的なものに頼らず、自然に近い方法で製造する、安全安心なアプローチを開始しました。

結果は大成功。加熱熟成したホップは、機能を維持したまま味覚を改良することが可能に。形山さんの仮説が見事立証されたのです。「壁にぶつかった時、まずは仮説を立てる。自分の想像力や過去の論文をもとに、どういうアプローチで挑むかを考える。実際にやってみると、仮説通りに行くことはほとんどない。でもその原因を解明し、また新たに仮説を立て、次に進むべき方向性を考える。1個1個の仮説を徹底的に検証しながら、進めていく。途中で諦めてしまった先にゴールはない。」と形山さんは話します。この諦めない精神と常識の逆をいく思いきった仮説が『熟成ホップ』の誕生につながったのです。

熟成ホップから見える未来

「ホップは植物であり、古くからあるナチュラルな素材。研究者の視点だと、どうしても1つの機能や特徴に目がいってしまうが、ホップという植物の魅力はまだほんの一部しか解明されていないと思う。」と形山さんは話します。開発当初はホップの痩身効果に注目が集まっていましたが、最新の研究では脳機能への効果も認められています。

苦味を美味しく食べることができるのは人間だけ。人間は進化の過程において、苦味を美味しさの一環として生活に取り入れてきました。この熟成ホップの苦味も、美味しい食品へと展開することができ、日常生活に溶け込んだ存在になれれば、きっと新しい世界が広がっていく。形山さんが研究開発に込めた思いを胸に、次はINHOPの挑戦が始まります。

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