熟成ホップ研究所

INHOP - The Hop Company

2020. 10. 27 15:00

川島博士 × 金子社長 対談連載 前編

脳科学の知見と技術を軸に、人々のQuality of Life向上を目指す「株式会社NeU」。
脳トレブームの火付け役であり、CTO(最高技術責任者)を務める川島隆太博士(東北大学教授)が、
脳トレのルーツから認知機能維持・向上のための脳ケア、そのための食の考え方などについて語ります。

脳科学の知見と技術を軸に、人々のQuality of Life向上を目指す「株式会社NeU」とINHOPの共同プロジェクトが始動!そこで脳トレブームの火付け役であり、株式会社NeUでCTO(最高技術責任者)を務める川島隆太博士(東北大学教授)に、独占インタビューを敢行しました。この記事ではその前編をお届けします!インタビュアーを務めるのはINHOPの金子CEOです。

金子CEO

脳トレブームで皆さんに知られるようになった川島博士ですが、近年ではアカデミアの側面だけではなく、株式会社NeUを立ち上げるなど、ビジネスマンとしてもご活躍されています。その背景にはどのような思いがあるのでしょうか?

川島博士

我々学者は、世界に新しい知識をもたらすことが使命です。学者としては論文を書いて認められれば満点ですが、自分はそれは違うと思っていました。大学での研究資金は、国民の皆さんの税金から支払われています。研究成果の中で実現できるものがあるなら、積極的に社会に還元していかなければならないと思い、自分が先陣を切って、研究成果の社会実装を始めました。脳トレもこの一連の中から誕生したのです。

NeUを起業したのも、我々が持っていた認知脳科学の知見と、日立ハイテクの技術を組み合わせることで、より自分たちの研究成果を社会に還元できると思ったことがきっかけです。

金子CEO

脳の分野を研究する原動力には何があるのでしょうか?

川島博士

もともと、大学に入った時から脳に興味がありました。私の夢は「人類最後の1日を自分の目で見ること」。肉体はすぐに滅びてしまう。しかし、脳は電気活動で動いています。ならばコンピューターの中でも生きられるはず。自分の脳をコンピューターに入れることで、その夢を実現したいと思っているんです。医学部に入った後も、脳の研究を一貫して続けていました。

金子CEO

川島博士の学生時代は、まだコンピューター黎明期だと思います。
その時点で既に未来を見られているのはさすがですね!

川島博士

研究していく中で見えてきたのは「老若男女問わず、脳は若返ることできる」ということ。脳機能を維持・向上していくことは何歳からでも可能であると気づいたんです。そこで最初は、未来を支えてくれる土台となる、子どもたちの教育に生かそうと考えました。しかし、子どもたちの生活に介入することは難しい。学者のエゴでやっていいのか疑問でした。

そこで未来を支えてくれる土台を強くするのではなく、その土台に担がれる方を軽くしようという考えに変えたんです。つまりは、高齢者の脳機能の維持・向上。それが脳トレのはじまりでした。

金子CEO

脳トレは今や高齢者だけではなく、老若男女が楽しめるコンテンツとして浸透しています。脳トレの意義とはなんでしょうか?

川島博士

医学と衛生の発展により、人生100年時代と言われるほど寿命が延びています。ただ健康的に社会活動ができる「健康寿命」が延びているかというと、決してそうではない。人間は自分で心身のメンテナンスをしない限り、健康寿命は伸びません。脳の健康・体の健康を考え、自分自身の脳と体のお手入れをちゃんとやっておく必要があるのです。

金子CEO

確かに会社を引退してから、会社人生と同じ年数を生きられる時代になっています。
ただ脳ケアをしないといけないと思いつつ、そこまでの動機付けをしにくい現状もあると思います。改善しなくてはいけないポイントはなんだと思いますか?

川島博士

ポイントは大きく2つあると思います。
1つは「健康はタダ」だと思っていること。もう1つは「健康は老年期に入ってから衰える」と思っていること。

研究のデータを見れば明らかですが、人間の認知機能は20歳くらいがピークで、そこから徐々に衰えていきます。バリバリできているような気がしているだけで、実際にはもう衰えが始まっているんだということを、データをもとに実感してもらう必要があると思います。同時に、メンテナンスによって、衰えを防ぐことができるというデータも理解してもらう。そして、そのためには自分自身のためにもっと投資しなくてはいけないという考えを、社会全体でやっていく必要があると思います。

金子CEO

健康はタダではなく、メンテナンスする自覚が必要だということですね。
20歳をピークに右肩下がりになる状況において、これから認知機能を伸ばしていく、子どもたちのサポートについてはどう考えていますか?

川島博士

基本的には一緒です。脳はよくコンピューターに例えられます。年をとると処理能力の低いコンピューターになってしまう。それを、若い頃の新しいコンピューターを保ち続けようとする取り組みが「脳トレ」なんです。

良いコンピューターの条件とは<計算速度が速いこと>と<記憶容量が多いこと>。この2つを鍛えていくと、脳のいろんな能力が上がります。子どもたちは学習を通じて、良いコンピューターが出来上がっていくんです。高齢者と同じ脳トレをすることで、成績が上がった研究もある。気づいている学習塾は既に脳トレを導入しているところもあります。

金子CEO

若いうちに良いコンピューターを作り、歳をとったらそれをメンテナンスしていくイメージですか?

川島博士

そうですね。使わないものは、自然と衰えていきます。
子どもたちの脳は脳トレで鍛えることによって、より良いコンピューターになっていくのです。

前編はここまで!後編では、脳をケアするための攻めと守りのポイント、特に熟成ホップをはじめとする、食の観点からのお話をご紹介いたします。

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