熟成ホップ研究所

INHOP - The Hop Company

2020. 11. 03 15:00

川島博士 × 金子社長 対談連載 後編

脳科学の知見と技術を軸に、人々のQuality of Life向上を目指す「株式会社NeU」。
脳トレブームの火付け役であり、CTO(最高技術責任者)を務める川島隆太博士(東北大学教授)が、
脳トレのルーツから認知機能維持・向上のための脳ケア、そのための食の考え方などについて語ります。

脳科学の知見と技術を軸に、人々のQuality of Life向上を目指す「株式会社NeU」とINHOPの共同プロジェクトが始動!そこで脳トレブームの火付け役であり、株式会社NeUでCTO(最高技術責任者)を務める川島隆太博士(東北大学教授)に、独占インタビューを敢行しました。この記事ではその後編をお届けします!インタビュアーを務めるのはINHOPの金子CEOです。

金子CEO

前編では、脳は若いうちからメンテナンスし続けない限り、20歳をピークに衰えていく。そしてそのために、私たち全員が健康にもっと投資していく必要性を伺いました。後編では具体的に、脳をケアする方法について伺えればと思います。

川島博士

脳ケアのポイントは“攻め”と“守り”です。
意識して脳を使う習慣を持つ/アクティブに脳を使おうとする“攻め”のケアと、脳の健康を守るための栄養をとる/運動や食事睡眠に気を使うといった“守り”のケアを意識する必要があります。

金子CEO

なるほど。以前、川島博士は「脳トレが運動なら、食事や睡眠はプロテイン」とおっしゃっていました。
攻めのケアのための「脳トレ」があった時、守りのケアのために食品ができる役割はなんでしょうか?

川島博士

食品の中にも“攻め”と“守り”があります。まずは“守り”について。
こちらは生き物としての基本ですが、日々の生活の中でバランスよく食事をとり、栄養バランスを保つことです。

金子CEO

川島博士もよく、朝ごはんの重要性を取り上げられていますね。

川島博士

はい。朝食の欠食への問題意識はずっと持っています。朝食をとらない子どもたちは一貫して、学力が低いという研究結果も出ているんです。朝食をとる児童と比較すると、やはり朝食をとらない児童の方が将来、大学の入試がうまくいかない/生涯年収が低い/就職が決まらないといった、人生における様々な悪いことが起こりがちなんです。

ただ朝食をとればいいわけではありません。
従来、脳というのはブドウ糖が主な栄養素であり、ブドウ糖があれば脳は働くはずだと言われてきました。しかし、それは違います。大学生たちにバランスのいい栄養食品をとらせた時と、糖質しかとらせていない時で比較すると、やはり前者の方が脳の働きが良いのです。

子どもたちの多くは朝ごはんに糖質しかとっていません。親が炭水化物しか朝食に出さない習慣を持っているだけで、子ども達の将来が壊れていく可能性があるのです。それはあってはいけなことだと思っています。

金子CEO

朝食の欠食が年収や受験にまで影響することを、知らないこと自体がもったいないですね。
一方で、食品における“攻め”とはなんでしょうか?

川島博士

それは、認知機能が上がると研究されている、ある種の食品をしっかりとることによって、脳をケアする取り組みです。
超高齢化社会において関心を持っているのは、ポリフェノールなどの強い抗酸化作用を持つ食材です。アルツハイマーの原因の根っこの部分は、脳の中の炎症と言われています。質の良い睡眠をとればクリーンな状態になりますが、年をとると睡眠の質が悪くなり、慢性的な炎症状態になります。近年の研究では、抗酸化作用をたくさん含んでいる野菜類を食べることで、分子レベルで炎症を抑えられることがわかってきました。

金子CEO

我々が開発した熟成ホップも、その攻めの素材にひとつになれればと考えています。熟成ホップを摂取することで、脳内の老廃物の蓄積を抑え、脳の炎症も抑える効果が明らかになってきていますが、川島博士はこの熟成ホップという新素材について、どのような印象をお持ちでしょうか?

川島博士

基礎研究の論文を読ませていただき、人に応用する価値は十分にあると思っています。この熟成ホップという素材をどうやって日々の食生活の中に溶け込ませていくのか。週に一度、月に一度摂取するだけでは意味がありません。自然な形で毎日でも摂取してもらいたいと考えています。サプリメントという形だけではなく、通常の食事の中で上手に摂取できる形になると非常に有効なものになるはずです。また、お菓子のような形になっているのもいいですね。健康的なおやつとして家族に食べてもらえると面白くなると思います。

金子CEO

噛むという行為による、脳への効果も合わせて、手軽に取れる食を考えていきたいと思います。
一方でこうした食生活に関しては、川島博士がおっしゃるような、脳ケアの啓蒙活動も合わせてやっていかないと難しいですよね?

川島博士

やはり自分自身の健康の変化は、自分だと気づきづらい。相当大きな変化がない限り無理です。自分の成長具合を他人に評価してもらえるシステムを提供することも大事だと思っています。

金子CEO

確かに血圧も、家庭で気軽に測れるようになって、はじめて気にし始めたものだと思います。この点において、NeUとして成し遂げたいことはありますか?

川島博士

人はひとつのメニューを根気強く続けることが苦手な生き物です。そこで重要なのがマルチドメインの生活介入。脳トレや栄養、睡眠など様々な分野が単発で動くのではなく、チームとなって人々の生活に介入していく。脳ケアのためのメニューがたくさんあることを自覚してもらい、その中から好きなものを選んでもらう仕組みを作ることで、自然と生活習慣を改善してもらうことができると考えています。そして、そこで得られたデータを解析しながら、新しい商品開発やアップデートをしていくこともできます。

INHOPは、母体がKIRINという食品会社と、電通という社会との接点を多く持つ会社です。今私が話したような、大きな仕組みを動かしていくチャンスがある会社だと期待しています。認知機能に効く熟成ホップという素材と、NeUが開発しているものでどのような相乗効果が生まれるか、これから研究をし、社会に実装していきたいと思っています。

金子CEO

貴重なお話をいただき、ありがとうございました!

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