記憶力を高める方法は?記憶力低下の原因も解説!

記憶力を上げる

この頃忘れっぽくなったり、なかなか暗記できなかったりすることはありませんか?
記憶力は日常生活に影響するところも多く、まずは生活習慣を見直すことが大切です。
今回は、記憶力が低下する原因や記憶力を高める方法などをお伝えします。

今野 裕之

この記事の監修者

今野 裕之医師

精神科、心療内科医、認知症診療医

ブレインケアクリニック名誉院長 ・一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長
順天堂大学大学院卒業。老化予防・認知症予防に関する研究で博士号を取得。大学病院や精神科病院での診療を経て2016年にブレインケアクリニック開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、一人ひとりの患者に合わせた診療に当たる。認知症予防医療の普及・啓発活動のため2018年に日本ブレインケア・認知症予防研究所を設立。 著書・監修に「最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術(青春出版社)」など。

人の脳は「忘れる」ようにできている

記憶力が低下する原因と対策

人の脳は、日ごろから絶えず大量の情報に触れており、すべてを記憶するとしたらあっという間に限界がくると言われています。
勉強や仕事など、日常生活のなかで物覚えが悪いと感じることがよくあるかと思いますが、それは脳が記憶の限界を迎えないために、不必要と判断したものを「忘れる」という選択をしているからなのです。
この判断をしているのが、脳の「海馬」と呼ばれる部分です。

海馬は、大脳の側頭葉深部に左右一対で位置しており、記憶に関する働きを担っています。
海馬の主な働きは、記憶の司令塔として必要な情報のふるい分けをしたり、情報が大脳に移るまでの一時保管をしたりする役割で、特に短期記憶に大きく関わっているのです。

短期記憶とは、日々見たり聞いたりして覚える記憶のことで、覚えようとしない限り忘れてしまう記憶を指します。
基本的には20秒~数分程度しか覚えておくことができないため、覚えておくためには、繰り返しインプットすることが必要です。

一方、何年にも渡って覚えている長期的な記憶もあります。
これを長期記憶といい、一時的に忘れていても何かのきっかけで思い出せるのが特徴です。
海馬はこの短期記憶と長期記憶を選別し、長期記憶を大脳に送って保存する一方で、短期記憶は一時保存した後、不要であれば削除し、その膨大な記憶を処理しています。
そのため、物覚えが悪いと感じていても、それは脳がその情報を不要と判断しているからかもしれず、脳科学的に見るとごく自然なことなのです。※1

※1 参考文献: 海馬とは?|佐藤病院
http://midori-satohp.or.jp/article/50.html

記憶力が低下する原因とその対策方法

人の脳は忘れるようにできてる

前項を踏まえると、一般的な「記憶力が良い」とは長期記憶が優れていることをよく指しますが、「長期記憶化しづらい=記憶がなかなか定着しない」のにはいくつかの原因が考えられます。

ここでは、記憶力が低下する4つの主な原因とその対策方法について解説します。

原因①:ストレス

記憶を司る海馬という器官は、実はとても繊細で、ストレスがかかることによってダメージを受けやすいと考えられています。
例えば、うつ病やPTSDに関する研究によると、患者が長期間にわたりストレスを感じたことにより、海馬が萎縮してしまったことが確認されています。

このように、ストレスは海馬を萎縮に繋がり、それによって記憶力の低下の原因になってしまうのです。※2
では、ストレスによる記憶力低下を防ぐためには、どのような対策をしたらよいでしょうか

具体的にどうしたらよいかというと、日々のストレスチェックを行なったり、普段からストレスを解消し、健全な心を維持することで対策ができます。
ストレス発散の方法として何が最も自分に合っているかは人それぞれ異なりますが、例えば作業を行なっていれば一度その場から離れて、リラックスできる音を聞いて心を落ち着かせたりしましょう。

また体が疲れている場合は、十分な睡眠をとったりお風呂に浸かったりしてもいいかもしれません。
他にも休日は趣味に打ち込んだり、運動をしたり、映画を見たりして、意識を他のことに移すことも良いでしょう。
現代はストレス社会とも言われており、様々な面でストレスを感じやすくなっています。
早いうちからケアをして、ストレスを溜め込まない工夫をしてみましょう。

※2 参考文献:記憶障害とは 記憶障害の種類と対応|認知症ねっと
https://info.ninchisho.net/symptom/s20

原因②:睡眠不足

寝不足になると記憶力が低下した経験が誰しも一度はあるのではないでしょうか。
それは、私たちの体では眠っている間に記憶の定着が行われているため、睡眠時間が短いことにより、その記憶を定着させられていないからなのです。

まず、睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2つの睡眠の種類があります。

  • ノンレム睡眠:脳を休める睡眠
  • レム睡眠  :身体を休める睡眠(夢を見るのは、このレム睡眠中)

レム睡眠時には、新たな記憶を既に記憶したこと(かつての記憶や経験)と関連づけるとともに、次回記憶を思い出す(想起する)際にスムーズに出来るように「索引」を付ける作業が行われます。

基本的にこの「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」がセットで1サイクルとなっており、1セット1時間半です。
それが起床までの間に数回繰り返されることで、長期記憶が定着するため、睡眠不足になるとこのサイクルの数が減り、それによって海馬から大脳皮質に情報が伝わらず、記憶が定着しづらくなるのです。※3

また、睡眠不足は記憶の定着の妨げとなるだけでなく、アルツハイマー病の原因の一つであるアミロイドβの沈着の危険性が高くなる可能性があると報告されています。※4

では、何時間睡眠を取れば、記憶をきちんと定着させることができるのでしょうか。
研究によると、個人差はありますが、一般的には6~7.5時間の睡眠が目安とされており、実際に厚生労働省の調査によると、日本人の睡眠時間は平均7時間42分だとか。
ただ、この時間は過去20年にわたり減少を続けていることがわかっており、その要因として、日勤や夜勤のある交代勤務、通勤や受験のための短期間睡眠、夜型生活をする人の増加などが挙げられます。※5

あなたは、睡眠時間を6~7.5時間確保できていますか?
もし睡眠時間が6時間以下と短い人は、いつもより早く就寝するように心がけましょう。

※3 参考文献:第1回 「睡眠と記憶について/基本的な睡眠とは」|甲南大学
https://www.konan-u.ac.jp/special/vol_1.html

※4 参考文献:「第120回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム」
耳鼻咽喉科としての認知症への対応 睡眠からアプローチする認知症予防
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/122/12/122_1475/_pdf

※5 参考文献:健やかな眠りの意義:厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-001.html

原因③:栄養不足

記憶力の低下はビタミンB群の不足でも起こることがわかってきました。

ビタミンB群のうち、特にビタミンB1は必須栄養素の一つで糖代謝やエネルギー生産の補酵素として働くだけでなく、脳の働きや神経の働きを正常に保つ働きを担っており、このビタミンB1が不足すると神経障害が起き、海馬や大脳皮質が正しく機能せず記憶力や集中力の低下を招くのです。※6

このビタミンB1を中心とした栄養不足による記憶力低下の対策方法としては、食生活の見直しが大切になります。

まずはバランスの良い食事を3食欠かさず摂ることを心がけましょう。
その上で、豚肉やレバー、豆類に多く含まれるビタミンB1の摂取を意識することで、脳神経の正常な働きを助けてくれます。
記憶力が低下していると感じるときは、偏った食事をしていないかを確認してみましょう。

※6 参考文献:Biosci Biotechnol Biochem. 2016 Dec;80(12):2425-2436.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27576603/

原因④:好奇心が足りない

同じ作業や勉強を続けているとマンネリ化して目の前のことに興味を持てなくなることがあります。
これは、好奇心の有無も記憶力に影響するからなのです。※7

例えば、数十人いるアイドルグループにハマった時に、メンバーの顔と名前をすぐに憶えられてしまったという経験はありませんか?
好奇心が高まっていると、興味を惹かれたものに対してしっかり集中して観察をするようになるため、記憶に残りやすくなります。
記憶力の低下を感じるのは、あなたがその覚えていたい事象に対して好奇心が薄れてしまっていることが原因かもしれません。※8

好奇心が足りないことによる記憶力低下の対策方法としては、まずは小さいことでも良いので、意識してやりたことを1つ1つ書き出してみてはいかがでしょうか。
そして、そのやりたいことをすぐに行動に移すことをしてみてください。
それをきっかけにまた他にやりたいことが見つかり、その連鎖で気持ちが前向きになっていきます。

また、「面白そう」「やってみたい」を口癖にするのもよいかもしれません。
年齢とともに、小さかった時と比べると好奇心を抑えてしまっているかもしれませんので、一度書き出したことを行動に移すことで好奇心が高め、好奇心を解放するきっかけを意識的に作ってみてください。

※7 参考文献:好奇心に基づいたELMによる連想記憶モデルの強化:法政大学大学院紀要. 情報科学研究科編:金子 昌平
https://bit.ly/3qAXr8z

※8 参考資料:セロトニンと学習集中力;海馬のθリズム:林 隆博
https://www.blog.crn.or.jp/report/04/71.html

まとめ

記憶力を高めるためには、

  • ストレス解消
  • しっかりとした睡眠
  • ビタミンB1を中心にバランスの良い食事
  • 好奇心の向上

の4つのポイントが重要です。

勉強においては、特に暗記科目を中心にこの記憶力の高さが点数を左右するかと思います。
本記事のポイントを実践して記憶力を高め、ぜひ質の高い学習を実現してください。

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